中学公民|企業・労働・金融
企業・働く人・お金は、
どうつながっている?
企業は人の労働と資金を使って商品やサービスを生み出します。企業と労働の関係から、銀行が資金をつなぐ金融の仕組み、日本銀行の役割まで順に考えます。
1|企業の役割
商品やサービスを提供し、活動を続ける
企業は、人々が必要とする商品を生産したり、さまざまなサービスを提供したりします。売上から原材料費や賃金などの費用を差し引いて残る利潤は、事業を続けたり新しい設備や商品に投資したりするためにも使われます。
理解チェック企業が活動を続けるための利潤
企業は商品を生産したりサービスを提供したりして売上を得ます。売上から原材料費や賃金などの費用を差し引いて残る利潤は、設備投資や新しい商品・サービスの開発などにも使われます。
企業が利潤を得ようとすることが生産活動につながる理由として適切なものはどれですか。
利潤は売上そのものではなく、収入から費用を差し引いた残りです。事業を続けたり、新しい投資をしたりする資金にもなります。
2|労働と賃金
労働を提供し、その対価として賃金を受け取る
企業の活動には、設備や原材料だけでなく、人の労働が必要です。労働者は企業などに労働を提供し、企業などはその対価として賃金を支払います。
理解チェック労働と賃金
労働者は企業などに労働を提供し、その対価として賃金を受け取ります。企業にとって賃金は、生産やサービスに必要な労働を得るための費用でもあります。
賃金の説明として適切なものはどれですか。
労働者は時間や技能を使って労働を提供し、その対価として賃金を受け取ります。
3|労働者を守るルール
働く条件を、当事者だけに任せない
労働者と使用者が契約を結べば、どのような条件でもよいわけではありません。法律によって、働く人を守るための最低限の基準が設けられています。
最低賃金制度
法律に基づいて賃金の最低限度を定め、使用者は原則としてその額以上の賃金を支払います。具体的な最低賃金額は地域などによって異なり、改定されることがあります。
労働基準法
賃金、労働時間、休憩、休日など、労働条件について最低限の基準を定めています。
理解チェック最低賃金制度
最低賃金制度では、法律に基づいて賃金の最低限度が定められ、使用者は原則としてその額以上の賃金を支払わなければなりません。
最低賃金制度の役割として適切なものはどれですか。
最低賃金制度は、賃金の最低限度を保障して労働条件の改善や生活の安定につなげる制度です。
理解チェック労働基準法
労働基準法は、賃金や労働時間、休憩、休日など、労働条件について最低限の基準を定めています。労働者と使用者が合意していても、法律の基準を下回る条件をそのまま有効にできるわけではありません。
労働基準法の役割として最も適切なものはどれですか。
労働基準法は、労働者を保護するために労働条件の最低基準を定める法律です。
4|労働組合
労働者が団結して、使用者と交渉する
労働組合は、労働者が団結して、賃金や労働時間などの労働条件の維持・改善を目指す組織です。一人ひとりではなく、集団として使用者と交渉する仕組みがあります。
理解チェック労働組合
労働者は、賃金や労働時間などの労働条件について使用者と交渉するため、労働組合をつくることができます。個人だけでなく、労働者が集まって交渉するための仕組みです。
労働組合の役割として適切なものはどれですか。
労働組合は、労働者が団結して労働条件の維持・改善などを目指す組織です。
5|労働三権
団結・交渉・行動する権利が保障されている
日本国憲法第28条は、労働者の権利として労働三権を保障しています。名前だけでなく、それぞれ何をする権利なのかを結び付けて覚えましょう。
理解チェック労働三権
日本国憲法は労働者に、団結する権利、使用者と団体で交渉する権利、要求を実現するため団体で行動する権利を保障しています。
労働三権の正しい組み合わせはどれですか。
労働三権は、団結権・団体交渉権・団体行動権です。日本国憲法第28条で保障されています。
6|働き方はいろいろある
正規・非正規だけで「良い・悪い」と決めない
正規雇用のほか、有期契約、パート、派遣などさまざまな雇用形態があります。生活に合わせて働き方を選べる一方、契約期間や雇用の安定、待遇などに違いがあり、それが課題になる場合もあります。
大切なのは、雇用形態の名前だけで評価することではありません。働き方の選択肢が広がることと、安心して働ける条件や公正な待遇の両方を考えます。
理解チェックさまざまな雇用形態
働き方には、正規雇用のほか、有期契約、パート、派遣などさまざまな形があります。生活に合わせて働き方を選べる面がある一方、雇用の安定や待遇が課題になる場合もあります。
多様な雇用形態について適切な説明はどれですか。
雇用形態にはそれぞれ特徴があります。「正規=良い、非正規=悪い」と単純化せず、選択肢と課題の両面を見ることが大切です。
7|少子高齢化と労働力
働く世代が減ると、企業や地域にも影響する
少子化によって若い世代が減り、高齢化によって退職する人が増えると、産業や地域によっては労働力不足が起こりやすくなります。
理解チェック少子高齢化と労働力
少子化で若い世代が減り、高齢化によって退職する人が増えると、働く人の数が不足する地域や産業が生じやすくなります。
少子高齢化が労働力不足につながる理由として適切なものはどれですか。
若い世代の減少と退職者の増加が重なると、働き手の確保が難しくなる地域や産業があります。
8|働き方の変化
仕事と生活を両立できる社会へ
育児や介護との両立、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方など、働く環境をめぐる課題は変化しています。仕事と家庭・休養などの生活を調和させるワークライフバランスも重要な考え方です。
理解チェック仕事と生活の両立
働き方改革では長時間労働の是正や、多様で柔軟な働き方などが重視されています。仕事だけでなく家庭、育児、介護、休養などの生活も大切にする考え方をワークライフバランスといいます。
ワークライフバランスの考え方として適切なものはどれですか。
仕事と生活の調和を整えることは、多様な人が働き続けやすい環境づくりにもつながります。
9|現代の労働問題
「選べること」と「安心して働けること」の両方を見る
働き方の多様化には、自分の生活に合わせた働き方を選びやすくなる面があります。一方で、雇用の継続、待遇、長時間労働、働き手不足などの課題もあります。現代の労働を考えるときは、利点と課題の両方を見る必要があります。
理解チェック現代の労働問題
働き方が多様になることには選択肢が広がる利点があります。一方、有期契約などでは雇用の継続や待遇が課題になる場合もあり、安心して働ける条件を整えることも重要です。
現代の雇用について必要な考え方はどれですか。
多様な働き方を認めながら、公正な待遇や安心して働ける条件も考える必要があります。
10|企業と資金
企業が活動するには、お金も必要
企業が工場や機械を用意したり、新しい商品を開発したりするには、まとまった資金が必要になることがあります。企業は自分たちが持つ資金だけでなく、金融機関から借りるなどして必要な資金を調達します。
ここからは、企業や家計の間でお金を必要なところへ動かす金融の仕組みを見ていきます。
11|金融とは
お金を必要なところへ融通する仕組み
金融とは、資金に余裕がある人や企業から、資金を必要とする人や企業へお金を融通することです。銀行などの金融機関は、その間をつなぐ重要な役割を果たします。
12|銀行の役割
預金を集め、必要なところへ貸し出す
銀行は、家計や企業から預金を受け入れ、その資金などをもとに企業や個人へ貸出を行います。また、振込や口座振替など、お金の受け払いを行う決済も支えています。
貸出
事業や生活などに資金を必要とする企業や個人へお金を貸します。
利子と金利
お金の貸し借りでは利子が発生します。元金に対する利子の割合を金利といいます。
13|日本銀行
日本の中央銀行
日本銀行は、日本の中央銀行です。一般の銀行とは役割が異なり、日本銀行券を発行し、金融機関どうしの資金決済などを支え、国のお金の受け払いに関する事務も行います。
銀行の銀行
金融機関から預金を受け入れ、金融機関どうしの決済などを支えます。
政府の銀行
国庫金の受け払いなど、国に関する事務を取り扱います。
日本銀行は1882年に設立されました。歴史上の出来事として覚えるだけでなく、現在の金融の中心を担う中央銀行としての役割を理解することが大切です。
14|金融政策
金利や資金の流れに働きかける
日本銀行は、物価の安定を目的として金融政策を行います。金融市場に資金を供給したり吸収したりすることで、短期市場金利などに働きかけ、それが金融機関の貸出金利や企業・家計の経済活動にも影響していきます。
金融政策の効果は、景気や物価、海外経済などさまざまな条件にも左右されます。「金利を動かせば必ず景気がこうなる」と単純に決まるものではありません。
まとめ
企業・労働・金融は、一つの経済の中でつながっている
企業は資金と人の労働を使って商品やサービスを生み出し、労働者は賃金を受け取ります。家計などの資金は銀行を通じて企業などへ貸し出され、経済活動を支えます。さらに日本銀行は中央銀行として金融の仕組みを支え、金融政策を行います。企業・働く人・お金の流れを一つにつなげて理解しましょう。