社会|日本の特色ある地域

低い土地の暮らし

濃尾平野の輪中を例に、川と土地の高さ、水害への備え、昔と今の暮らしの工夫を学びましょう。

1|土地の位置と高さ

低い土地はどこにある?

岐阜県・愛知県などに広がる濃尾平野には、木曽川・長良川・揖斐川が流れています。この三つを木曽三川と呼びます。下流には、海面と同じくらい、または海面より低い土地もあります。

濃尾平野がある中部地方の位置を確認する地図

中部地方の地図で岐阜県・愛知県・三重県の位置を確かめましょう。河川の流路を示した専用地図ではありません。

海面の高さ(目安)低い土地堤防堤防川の水面と地盤の高さは場所によって異なります

土地の高さを考えるための模式図。実際の輪中の標高・水位を示したものではありません。

2|低地と洪水

なぜ低い土地では洪水に注意が必要?

大雨で川が増水すると、堤防を越えたり、堤防が壊れたりして水が流れ込むことがあります。また、土地が低いと、地域に降った雨水が自然に排水されにくくなることもあります。洪水の危険は、土地の高さや川との位置関係によって変わります。

川からの浸水増水した川の水が堤防を越える・堤防が壊れるなどして、土地に流れ込むことがあります。
雨水がたまる浸水川の水位が高いときなどは、低い土地の雨水が排水されにくくなることがあります。

理解チェック

河川沿いの低地は平らで利用しやすい一方、周囲より標高が低く、河川が増水したときに水が入り込みやすい場所があります。過去に川が運んだ土砂でできた土地などでは、地形の成り立ちを調べることも洪水の危険を考える手掛かりになります。同じ市内でも高台と低地では、想定される水害の種類や程度が異なる場合があります。

同じ市内で洪水リスクに地域差が生じる理由はどれですか。

3|輪中

輪中とはどんなところ?

輪中とは、洪水から集落や農地を守るために、周囲を堤防で囲んだ地域です。濃尾平野の木曽三川の下流域には、こうした輪中がつくられてきました。川に囲まれた島という意味ではなく、堤防による水害への備えが大切な特徴です。

堤防農地集落川川

輪中の仕組みを示す模式図。実際の輪中の形や川の位置を表した地図ではありません。

堤防は外からの川の水を防ぎますが、輪中の内側に降った雨は外へ流れにくくなることもあります。

理解チェック

輪中で集落や農地の周りを堤防で囲んだ主な理由は何ですか。

4|昔の工夫

水屋と上げ舟は何のため?

昔の輪中地域では、堤防だけでなく家ごとにも水害への備えがありました。水屋は、屋敷の中で周囲より高く盛った場所に建てられ、避難や食料・家財の保管に使われました。上げ舟は、洪水時の移動や避難に備えて高い場所などに保管していた舟です。

母屋水屋高く盛った土地上げ舟(保管)

水屋と上げ舟の用途を説明する模式図。建物の形や保管方法は地域・家によって異なります。

理解チェック

輪中地域で水屋を周囲より高い場所につくった主な理由は何ですか。

5|現代の水害対策

今はどのように水害に備えている?

堤防川の水が周囲に流れ込むのを防ぎます。
排水機場低い土地にたまった雨水などをポンプで排出します。
水門水の流れを調節し、逆流を防ぐためにも使われます。
ハザードマップ想定される浸水範囲や深さ、避難場所などを確認できます。
たまった雨水排水機場ポンプ川堤防

排水機場の仕組みを簡略化した図です。実際の設備の構造とは異なります。

ハザードマップは洪水が起きる日時を予言するものではありません。自分の地域で浸水が想定される場所や避難先を、事前に確認するための資料です。堤防などの施設があっても、避難への備えは必要です。

理解チェック

洪水ハザードマップでは、河川があふれた場合に浸水が想定される区域や水深が色分けされていることがあります。自宅や学校の位置を地図上で確認すると、どの方向へ避難すれば浸水区域から離れられるかを事前に考えられます。ハザードマップは災害が起こる日時を予言するものではなく、想定される危険の場所や程度を示して防災行動に役立てる資料です。

洪水ハザードマップの主な役割はどれですか。

6|土地と農業

低い土地をどのように利用している?

川沿いには平らな土地が広がり、農業や人々の生活に利用されてきました。水を農業に利用できる一方で、洪水や排水への対策も欠かせません。水の恵みを利用しながら、水害の危険に備えることが重要です。

農地水路堤防川

土地と水の利用を説明する模式図です。

理解チェック

川沿いの平地は水を得やすく交通にも便利なため、多くの人が生活してきましたが、洪水時には浸水しやすい場所もあります。人間は自然の恩恵を利用して生活する一方、同じ地形や自然条件が災害時には危険要因になることがあります。土地の利点と災害リスクの両方を理解し、堤防や避難計画などで危険を管理することが必要です。

川沿いの土地と人間生活の関係として適切なのはどれですか。

まとめ

低い土地と人々の暮らし

自然環境・課題人々の工夫
川の下流に低い土地が広がる土地の高さと水の流れを考えて暮らす
川の増水による浸水輪中堤などの堤防を築く
洪水で家が浸水する危険水屋・上げ舟で備える
雨水が排水されにくい排水機場・水門を整備する
水害の危険を知る必要ハザードマップを確認する
川沿いに平らな土地がある水を管理して農業に利用する

低い土地に暮らす人々は、水の恵みを利用しながら、洪水から暮らしを守る工夫を重ねてきました。